青森十和田、真っ白なキャンバスに”暮らし”を描く「14-54 CAFE」
2018/10/09
広くて大きな見渡す限り広い箱。
もしそんな真っ白なキャンバスがあったら、あなたはそこに何を描きますか?
昨日、【十和田開催】十和田メディア研究部 ~ぼくらが伝える、青森県十和田市~に登壇するために青森に足を運んできました。
現地の人と触れ合えることも楽しみでしたが、もう一つ楽しみにしていたのが”ある場所“に行くこと。そこに行って、何が描かれているのかを知ることでした。
青森十和田 14-54 CAFE
その”ある場所“というのが青森県十和田市の商店街の一角にある、「14-54」というオープンスペース。
古き良き味のあるお店が並ぶ通りの中に、モダンで洗練された空間が忽然と現れます。
この「14-54」を知ったのは青森に来るちょうど一週間前、「これからの多拠点居住」というイベントに参加したときのこと。
そのイベントで登壇されていたアレックス・クイーンさんという方が運営されている地域のコミュニティスペースが「14-54」です。
お話を聞いて一度行ってみたいなと思っていたのですが、ちょうどよく昨日イベントでお話する会場の近くにあることが分かり時間も余裕があったのでお邪魔してきました。
「14-54」は地元の人々が自由に集まり、思い思いの時間を過ごせるコミュニティスペース。真っ白く広い空間の中に十和田の地元の人々の「生活」が散りばめられています。
たとえばその一つが「14-54 CAFE」という「14-54」の中に設置されたコーヒースタンド。
「14−54」に訪れる人が快適な時間を過ごせるように美味しい食べ物とドリンクを提供しています。
若いご夫婦が経営しているカフェなのですが、彼らも最近十和田に移住をしこのカフェを始めたそうです。
偶然「14-54」を訪れた際にオーナーのアレックス・クイーンさんに「カフェをやろうと思ってるんだよね」と話しかけられ、「じゃあ僕たちそれやります」と二つ返事で決まったのだとか。
こういう小さな出会いから、新しい”何か”が始まるんですね。
可愛い手書きのメニュー。
青森ついたのでカフェで朝ごはん pic.twitter.com/f3obqGX7xz
— 堀口英剛 #モノマリスト本発売中! (@infoNumber333) 2018年7月28日
僕もせっかくなので朝ごはんをいただきました。
カフェの横には「14-54」で行われるイベント表が。
「うさぎ散歩」「超音波体験」「お抹茶の会」
ちょっと除いただけで「何それ??」と気になってしまうイベント名が並んでいました。
農家さん達が種を交換するための箱が置かれていたり、
誰でも弾ける小さなピアノ。
よく週末はここでライブをやっているそうです。なんて楽しそう。
カフェの横に並ぶ雑誌も地元の会報誌が並び、いわゆる東京のそれとは大きく異なります。
スペースの真ん中には卓球台が2台。
まるでスタートアップのオフィスのような自由さ。
「14-54」がいかに地元の人と密接に関わっているかを肌で感じたのがこのソファ。
最初「14-54」に付いた時は座面のクッションがなく、「そういうソファなのかな」と思っていたのですが、後からおばちゃんがてくてくと歩いてきてストン、とクッションをはめていきました。
よく見るとクッションには小さな刺繍の跡が。
話を聞いてみると、このクッションに穴が空いてしまい、近所のおばちゃんが直してくれたんだそうです。
しかもこの文様は「津軽こぎん刺し」というこの地域に伝わる伝統的な刺繍。これを見て如何に「14-54」という場所が地元に溶け込み、愛されているかを知れたような気がします。
寛いでいると、ちょうどオーナーのアレックスさんが現れ、屈託のない笑顔で「良ければ奥も案内するよ!」と声をかけてくれました。
このアレックスさんという方がまた凄まじく優秀な人で、飛び級を繰り返しは13歳で大学に入学、大学院に進学後17歳で慶應義塾大学最年少の講師として勤務。20歳で翻訳事業を立ち上げ、今はHonyakuという翻訳アウトソーシング&データベースサービスを運営するという超人的な経歴。
日本語も日本人以上に達者で、なんと津軽弁まで話すことができます。
そんな人が東京ではなく十和田という地に魅せられ、拠点を構えているというのがまた面白いですね。
案内してもらった準備中のライブラリーとオフィススペース。
仕事場の中にドラムセットやギター、スケボーなど「遊び」の要素が散りばめられています。
更に「僕の家も見せてあげるよ!」と併設されているアレックスさんのお家までお邪魔させてもらえることに。この社交性の高さもあり、アレックスさんを知っている人はどの方もアレックスさんのことを好きだと言います。
家に向かう途中には最近近所の方に譲ってもらったというカヌーが。
そして台所にもおすそ分けしてもらったばかりの新鮮な野菜たちが。
「14-54」という場所同様に彼もまた十和田の街に愛されているのでしょう。
真っ白いキャンバスに、何を描くか。
十和田の商店街は通りにたくさんの店が詰まって建てられているので横に伸ばすことは難しく、通りの裏、縦にどんどんと伸びていく傾向があるそうです。
「14−54」はその縦に伸びた空間を全て繋げ、大きな一つの「箱」にしたとのこと。昨日偶然飲み会で隣に座った方がここの設計者で、この話を聞きました。
広くて大きくて、真っ白で何もない箱。
アレックスさんが用意したそのキャンバスの中で地元の人、訪れた外部の人が繋がり、自由にそれぞれの”暮らし”を描いていく。
次に来た時はどんな絵が描かれているのだろうと、楽しみになる場所。
また来たいね十和田。
dripのおふたりのお話しから🙌
👉発信するとどんないいことがあるの?
👉発信するときに気をつけていることは
👉情報発信によってたまっていく〇〇とは!#十和田メディア研究部 #灯台もと暮らし #iPad芸人 pic.twitter.com/7qfnthQCxo— ことみ✈️ (@sonecco) 2018年7月28日
その後無事イベントも終了し、十和田の方々と食事を囲みながらお話をさせてもらい、帰路へ。
今回の話をいただくまでは知らなかったのですが、今十和田は「現代アートの街」として有名になってきているのだとか。車の中から通り過ぎる街並みの中に目を引くアートが多くあり、時間があればもっとじっくりと見て帰りたかった。
またそのうち時間を取ってゆっくりと歩いてみたいな、と思わせてくれる良い街でした。十和田。
関連:札幌の街角「BARISTART COFFEE」
この記事が役に立ったのであればこちらの記事も気に入ってもらえると思います。
リンク:札幌の街角、小さなクマのコーヒースタンド「BARISTART COFFEE(バリスタートコーヒー)」