思い出を美しく、滑らかに。スマホ動画用3軸ジンバル「Smooth Q」
2018/04/26
「滑らさ」は美しさ。
緩急の付いた舞踊、流れるような熟練の職人の手仕事。継ぎ目のない「滑らか」な動きに、人はどうして美しさを感じてしまうのでしょうか。
「滑らかさ」の美は動きに留まらず、素材の質感や文章の構成などにも同様に宿ります。
「滑らかな手触りの陶器ですね」
「あの人の文章は滑らかだよね」
そう、「滑らか」というのは褒め言葉なのです。
最近少しずつmonographでも製品や場所の紹介のために文章や画像だけではなく動画を素材として使うようになってきました。伝えたい内容によっては言葉や静止画でいくら伝えるよりも動画一本の方が伝わる場合が多々あります。
自分のできる範疇にこだわるよりも読む人の「滑らかさ」を重視して、少しずつ伝え方を変えています。
スマホ用のスタビライザー「Smooth Q」
せっかく動画を作るのであれば極力「滑らか」に映像を残して、伝えたい。そう思い半年前くらいにスマートフォン用のスタビライザー(ジンバル)というモノを買いました。
手ブレを抑えスマホで撮影する動画をぬるっぬるに滑らかに撮影する手伝いをしてくれるアイテムです。
僕が今使っているのはZHIYUN(ジウン)というメーカーから発売されているスマホ用スタビライザー「Smooth Q」。
iPhoneやAndroidスマホの動画撮影を滑らかにサポートしてくれるステック上の手持ちジンバルです。
少し前のPCソフトのパッケージってこんな感じでしたよね。一太郎とか。
滑らかな動画を撮りたい、というシーンは日常の生活よりも非日常のアクティビティであることが多いという想定からか、スマホ用スタビライザー「Smooth Q」には保護用のソフトケースが付属しています。ジッパーで外周をぐるりと引いて開けるスタイル。
黒き衣(ウレタン製のクッション素材)に包まれて、鎮座している魔剣のような出で立ち。
男の子なのでこういったメカメカしいフォルムにはどうしても惹かれてしまう節があります。
ケースから出してきた全体像がこちら。
ナイロン製の軽い筐体。持ちやすいスリムな設計。さすがに毎日持ち歩くような代物ではありませんが、ちょっとした旅行のお供として連れていくには良いサイズ感でしょう。
操作系は親指でアクセスしやすい位置にひとまとめ。赤いマークの付いたボタンは電源ボタン。長押しで電源が入りスタビライザーが起動します。またSmooth Qには「ZY Play」という公式アプリがあり、そのアプリを使い動画を撮影する場合は電源ボタンの軽いタップで動画の撮影開始/停止が可能です。
同じく右にあるレバーも「ZY Play」使用時のズームイン/アウトを行えるもの。僕の場合は「FiLMiC Pro」という有料アプリを使っているのでこのあたりの機能は使わずに単純なスタビライザーとしての用途として使っています。
唯一僕が操作として使うのは電源ボタンの上にある「MODE」ボタン。その名前の通り撮影のモード切り替えボタンです。
被写体を中心に固定し追いかけてくれる「ロックモード」、手の動きにゆっくりと追従してくれる「フォローモード」、前後左右を手元のジョイスティックで制御できる「フルモード」の3種類があり、MODEボタンを押す度にモードが切り替わります。
Smooth QにiPhone Xを装着
Smooth Qの先端にはバネ式のハンドが付いていて、上下からスマホを挟み込めるようになっています。溝も深く締める力も強いのでぶんぶん振り回しても落ちる心配なし。
スマホの縦サイズに合わせて幅をつまみで調整しバランスを取ります。これで「Smooth Q」の電源を入れると…
ギュインッ!っとiPhone Xが回転し空中に固定されます。電子制御でバランスを取ってくれるので上下左右に揺らしてもiPhone本体がブレることはありません。
手ブレのような微細な振動は全てなかったことにしてくれますし、歩いている時の大きな揺れも帳消しにしてくれるのは動画制作において非常に大きな恩恵があります。
片手で持てるサイズ感
「Smooth Q」の魅力はその携帯性。
今まで動画撮影用のジンバルというと大きく、重いというイメージがありましたが、「Smooth Q」の重さは450gとペットボトル一本分くらいなのでポンと鞄に入れておくにはちょうど良い。
手で持ち運ぶ際には上の画像のような形で、可動部分を掴んで固定して歩いています。GANTZにこういう武器出てきそうだよね。
ちなみに、「Smooth Q」はバッテリー内蔵型なのでいざという時のスマホの非常用バッテリーとしても使うことができます。動画撮影を続けているとすぐスマホのバッテリーが減ってしまうのでありがたい機能です。
どれくらい違うのか、動画でご覧を。
動画撮影用の機材なので、撮影した動画を見てもらうのが一番効果を実感してもらえるだろうということで、一本動画をご用意しました。
最近のスマホ、特にiPhone Xはそれ自体の手ぶれ補正が強力なのですが、それでもやはり歩きながらのような撮影者が動く場合はどうしてもブレが発生します。そういった際にスタビライザーがどれだけ重要か、上の動画を見れば分かるはず。どうです、結構違うでしょ?
先日別の記事でも紹介したこちらの動画も同じくiPhone Xと「Smooth Q」で撮影。手ブレがなくなるだけでかなりそれっぽくなりますよね。動画に関してはまずは画質より手ブレを抑える方が重要なんじゃないかと思います。
OSMO Mobile2とSmooth Qを比較
元々この「スマホ用スタビライザー」というジャンルを切り拓いたのはDJI社から発売されているOsmo mobile(オスモモバイル)というシリーズ。
その対抗馬としてZHIYUN(ジウン)が約1年前に出したのがこの「Smooth Q」です。3万円ほどしたOsmo mobileよりも軽くて、稼働時間は3倍、値段はその半分。Osmoの一強時代に待ったをかけた製品です。
そこから時は流れ、Osmoも後継機となる「Osmo mobile2」を発売してきました。充電容量を改善し、軽量化を図り価格も値下げ。
osmo mobile 2 | Smooth Q | |
---|---|---|
重さ | 485g | 450g |
連続使用時間 | 15時間 | 12時間 |
価格 | 16,800円 | 12,990円 |
※価格は2018年4月時点
Osmo mobile2の値段は当時18,000円ほどで販売されていた「Smooth Q」の下を行く金額で設定されましたが、現在は先に発売されていた「Smooth Q」の価格が更に下がり、上の表のような状況です。
どちらを選んでも大きな差が出ることはないと思いますが「スマホで動画撮影を始めたい」というくらいの僕のようなビギナーには安くて軽い「Smooth Q」で充分ではないかなと感じています。
滑らかに、伝えていきたい。
最近「人生を変えるモノ選びのルール」という本を出版したこともあり、文章を人に褒めてもらえることが増えてきました。実にありがたいことです。
「堀口さんの文章は滑らかで読みやすいですよね」
これが言われて一番嬉しかった言葉。するり、と読める文章を心掛けていつもキーボードを叩いているので、「滑らか」と言われるのは影の努力が報われるようで思わずにやついてしまいました。
次は文章だけでなく動画も流れるように滑らかなものを作っていきたいと思います。
手の出しやすい価格で、その手伝いをしてくれる3軸ジンバル「Smooth Q」。思い出を滑らかに、美しく残しておきたい方は是非。