語れるモノを持とう

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Storyofthings良いモノを持っている人には自然と目が惹かれます。ピンと張った厚い生地のシャツ、大切に使い込まれているのが見て分かる艶のある革鞄、鞄のファスナーから覗く鈍く深い輝きを放つカメラのレンズ。身の回りのモノを見ればその人のこだわりが伝わってきます。

「外見ではなくて中身を見よう」というのは昔から何度も繰り返し使われているフレーズですが、その人の本当の「中身」を見るなんてことは占い師か超能力者でもないと不可能でしょう。長年付き合った親友でさえも度々「こんな一面があったのか」と驚かされることがあるくらいなのですから、初対面ともなれば尚更。そうなると必然的に「外見」に現れる少ない手がかりを判断に相手の人となりを推測しなければならないのです。

判断の材料に上がりやすいのはやはりその人が身につけている「モノ」でしょう。上下の衣服から始まり履いている靴、背負っている鞄、使っているスマホ、どれを取ってもその人のことを判断する重要な手がかりになり得ます。一番わかり易い例で言うと結婚指輪ですね。指輪は付ける場所によってモノ自体がメッセージを持ちます。それと同じで身につけているモノには本人の意志に関わらずなんらかの意味を外部に対して発信しているのです。

例えば、ケースを付けず画面が割れたままのスマホを使っている人は高い確率でリスクに対する理解が甘く、かつ問題を解決せずに先延ばしにする性格があると思われても仕方ありません。些細なことかもしれませんが、モノから伝わる情報は思っている以上に多いのです。

同じようにモノは優秀な「通訳」としても役立ってくれるでしょう。スマホでいくらでも写真が撮れるこの時代、相手が一眼の大きなカメラを持っていたら「カメラ、好きなんですか?」と十中八九聞いてしまいますよね。むしろ無視するほうが難しい。

モノを持つということはそれだけで立派な意思表示。自分から「僕カメラ好きなんですよ」といきなり始めるのは勇気が要りますが向こうから話しかけてくれるのであれば話すハードルも下がります。ファッションに限らず自分を表現する手段として自分の持ち物を一度考え直してみると面白い気づきがあると思います。

私の場合も、やはり会話がモノから始まることが多いです。私は今mother houseというブランドの四角いレザーのバックパックを背負っているのですが、革の鞄でここまで四角くシンプルで、背負えるバックパックは殆どないので出先の商談や打ち合わせでも「その鞄面白いですね」と言及をしてもらえることが多いです。その質問が来たらもうこちらのペース。

「この鞄はmother houseっていうメーカーのバックパックで、デザイナーは日本人、製造はバングラデシュの直営工場で生産されているんですよ。バングラデシュの人って勤勉かつ真面目なので国産品と変わらないクオリティのモノを日本よりコストを抑えて作れるらしいんです。レザーの扱いが伝統的に上手くて実際に大きなメーカーの代理生産を行っている工場も多いんですって。毎日背負ってますがとっても背負いやすいしヘタらない、さらには使っていく内に深い艶とコクが出てくるらしいので、朝こいつを手にとる度に愛着が増してくるんですよ」なんて説明は立板に水のようにすらすらと流れるように出てきます。すると「この人は持ち物ひとつにもこだわりを持って生活しているんだな」という印象を相手に感じてもらえます。

同じように先日はHender Schemeのヌメ革スニーカーを履いていたら、初対面のヒゲを生やした小粋でお洒落なおじさんから「それめっちゃカッコイイね。どこで買ったの?」とカフェで話しかけられ、会話がはずみ、新たな出会いが生まれました。

いつも通っているジムでも基本的に他の利用者との交流はないのですが、“the DASH”という線のない完全に左右が独立した小さなイヤホン”で音楽を聴いていたら、「僕もそれ持ってるよ!」と話しかけられオススメのワークアウトの曲を教えてもらえたこともあります。冒頭に語ったように、良いモノには自然と目が惹かれます。そして話が生まれるきっかけにもなり得るのです。

そして興味を示してくれた相手のために、そのモノについて語れる準備もしておきましょう。あまりくどくなりすぎても嫌味ですが、自分が持っているモノの「理由」と「良いところ」くらいはさらっと口から出てくるように。自分は何でこれを持っているのか、何でこれを選んだのかを語れるのであれば、それはきっとあなたの「ときめく”モノ”」なのだろうと思います。もしその理由を説明できないのであればそれはあなたがなんとなく持っているだけのモノ。少しずつで良いので持ち物の中の「ときめく”モノ”」の割合を増やしていきましょう。

また、友人や知人、もしくは知らない人であっても、もしあなたが良いなと思うモノを身に着けている人がいれば是非勇気を出して「それ良いですね」と話しかけてみてください。往々にしては人は褒められると嬉しいもの。ましてや自分のこだわりの詰まった大切なモノであれば尚更です。人間関係を円滑にするために、モノを有効に使っていきましょう。

ホーリーはこう思うよ。
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語りすぎて引かれないようにだけ注意。

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語れるモノを持とう

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