【読書・感想】そうきたか…これは騙された。意外性を突く叙述ミステリ。「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午
今日はお花見に行ってきます。PITE.です。
桜ということで、今回は「桜」がタイトルに入っているミステリ小説をご紹介。
「葉桜の季節に君を想うということ」
あらすじ
いつものようにフィットネスクラブで汗を流していた成瀬将虎は、ある日後輩のキヨシから、彼が密かに想いを寄せる愛子の相談に乗ってほしいと頼まれる。
久高愛子は、轢き逃げに遭い亡くなった身内が悪徳商法業者・蓬莱倶楽部によって保険金詐欺に巻き込まれていた証拠を掴んで欲しい、家柄の手前警察には相談しにくいと依頼してきた。
同じ時期、将虎は地下鉄に飛び込もうとした麻宮さくらという女性を助ける。それがきっかけとなり、以後何度かデートを重ねる仲になる。
将虎の恋の行方と、保険金詐欺事件の真相究明、2つの出来事が交錯する。
*wikipediaより抜粋
物語は複数の人物や時間を軸とした構成になっていて場所や語り手、時間などがあれよあれよと変わっていきます。しかも物語後半までその繋がりが全く感じられない。これで本当に大丈夫なのか??とヒヤヒヤしましたが最後の最後で一気にタネが分かり全てが繋がるという巧みに練られた文章になっています。
感想
タイトルは恋愛小説かのような可憐な感じですが中身はエンターテイメント性の強いミステリ小説です。「このミステリーがすごい!大賞」の2014年度第1位に選ばれた良作。
この本は先日イタリア旅行に持っていったのですが、その時に一緒に読んだ「十角館の殺人」と同じ叙述ミステリ小説です。
・【読書・感想】叙述トリックの祖、綾辻行人「十角館の殺人」。ミステリ入門に是非。 | iPhone・Macの情報発信ブログ〜Number333~
普通、叙述ミステリというと「人」や「物」、「名前」や「時間」「場所」「性別」「目的」などを上手くミスリードして読者を欺くといった手法が見られますが、今作「葉桜の季節に君を想うということ」ではこの中のどれ一つとして当てはまりません。本当に「これがあったか!」と叫んでしまいたいほどの要素を突いて読者を騙してきます。面白い。
初めて叙述ミステリを読む人にも良いと思いますが、それよりも何冊か叙述ミステリを経験した方が読んだほうが騙された時の快感は大きいでしょう。キャラの個性もあって楽しいので伊坂幸太郎なんかが好きな方にもオススメです。普通のミステリにはもう飽きた、というなら一度読んで見る価値はありますよ。
PITE.