街に滲むストリートアートの聖地。タイ・バンコク「チャールムラー公園」
壁を求めて南国へ。
今年9月に行った企画、あなたの街にもきっとある。東京のインスタ映えする"壁"100選をやってからというもの、行く先々の街でついつい目を惹く壁を探してしまう自分がいます。
この記事を書いている今、僕はノックスクートに乗ってタイ・バンコクに来ているのですが、この街ではふらっと歩いているだけで思わず立ち止まってしまうような壁がたくさん。
タイを初めとする東南アジアの国々ではストリートアートが盛んで、街の到るところが作品を残すキャンバスとして使われています。
ただの落書きと言ってしまえばそれまでですが、ここからバンクシーのような世界的なアーティストが生まれてくることがあるかもしれない。
未完成の街の余白を埋めるように、壁が彩られていく。
BTS ラーチャテウィー駅下車
せっかく今回タイに滞在しているので、この国のストリートアートにどっぷり浸りたいなと思いバンコク近辺の情報を検索。
すると都心のほど近く、BTS(タイの電車)のラーチャテーウィー駅の近くの公園にタイのアーティスト達が合作で残した作品群があるということを知り向かってみました。
駅から見渡すと、どうやってこんなところに書いたんだと思うような場所にウォールアートが。
取り残された、ダウンタウン
開発が進むバンコクでは、寂れた街中に急に巨大なショッピングモールが立っていたり、その逆で高級住宅街の中にぽつんと取り残されたダウンタウンが現れたりします。
ここラーチャテーウィーの周辺も同様で、寂れた廃墟の群れの中にガラス張りの高層タワーマンションが聳えるアンバランスな町並み。
日本でも、欧米の国でもそうですがウォールアートが盛んなのはこういった少し治安の悪い場所。
駅から5分くらい歩くと、もうそこかしこにウォールアートが。
街の雰囲気が視覚から体の中に伝わってきます。
アートに囲まれる、チャールムラー公園
今回の僕の目的地はここ、チャールムラー公園というウォールアートの聖地です。
高級タワーマンションのすぐとなりにも関わらず、公園の周りを囲むのは古びた廃墟。この壁一面に世界中の有名なアーティストの作品が所狭しとひしめいています。
敷地に入って、あまりの迫力に圧倒。
とりあえず恒例の1枚。この公園だけで壁100選作れてしまうんじゃないかというくらい数多くのアートが壁に詰まっています。
ストリートアートの世界では、「自分より上手い絵の上には作品を描かない」という暗黙のルールがあります。
これだけ治安の悪そうな場所でも作品がそのままきちんと残っているのは、アーティスト達の間で作品に対する礼儀とリスペクトが存在するから。
ストリートアートがただの落書きではなくアートとして確立しているのは、こういったその世界独自の文化があるから。
人の作品を避けるように、余白を埋めながら壁を染めていく。
日々形を変えながら進化をしていくアート。
カルチャーに詳しい人間にとっては世界的に有名な場所らしく、この日も海外からこの壁を求めて来たであろう人が数人、大きなカメラと共に訪れているところに遭遇しました。
公園の中心にはタイの人気スポーツ、セパタクローのコートがあり地元の若者達が楽しそうにボールを足で浮かせていました。
初めてセパタクローをやっている人を間近で見ましたが、頭で軽快にパスを回したり、宙返りをしてシュートをしたり器用なものですね。
街に侵食するアート
公園の中がアートで埋まってきているからか、公園の近くの路地や裏通りにも徐々にウォールアートが広がってきているところを見かけます。
まるでその様子は街の開発に対抗する静かなメッセージのように。
数年後、この街がアートで埋め尽くされているのか、それとも綺麗で均等な町並みに区画整理されているのか、どちらの未来も想像できる。
またこの街に訪れて、その答えを見てみたいと思わされる、バンコク、ストリートアートの聖地でした。