地域の鍵は”帰りたい”と思える場所を作ること。青森県十和田市のオーガナイザー「ビーコーズ」と語る。[PR]

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    2019/10/08

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「働き方改革」の名の下に、多様な働き方や職業が受け入れられつつある令和元年の日本。世間の風潮とテクノロジーの進化に後押しされ、場所や時間を問わずに生業を見つけることができる人達が増えています。

僕自身も比較的どこでも働ける環境が整いつつあるので、ここ数年で北陸や九州など日本各地の地方に赴き、地域独自の魅力や働き方・土地に根ざす”暮らし”に触れる機会に多く恵まれるようになってきました。

名産や観光地、充実したインフラ。土地毎に持つ魅力は様々ですが、その場所に「住む」と考えたら、やはり大切にしたいのは「どんな人がそこに住んでいるのか」。

インターネットの普及によりどこでも一定レベルの生活を送れるようになった現代だからこそ、街々の人、彼らが作るコミュニティの重要性が相対的に高まっているように感じます。

“コミュニティ”が織りなす土地、青森県十和田市

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訪れた街の中で、特に”コミュニティ”に対する熱と盛り上がりを感じたのが青森県十和田市。

メディア関係のイベント登壇で訪れたことをきっかけに、昨年は十和田湖畔にキャンプに行ったりとここ1〜2年で何度も足を運ばせていただいている土地です。

十和田湖を始め、奥入瀬渓流、十和田市現代美術館と日本有数の観光名所を持つ場所ではありますがそれ以上に僕が関心を覚えたのが、街に住む人達の”コミュニティ”の作り方。

市の中に点在する特定の場所を中心に、いくつかのコミュニティが存在し新たな交流の形が生まれているのです。

「これは面白いことになっているぞ」と、この街に住む「人」とそれを取り巻く環境についての興味が湧き、今回、monographにて青森県十和田市のコミュニティについて「街」と「自然」という二つの観点で取材を行ってきました。

人材の流出や、移住促進はどこの地域の課題でもありますが、その課題に対する答えの一つが、ここ青森県十和田市に生まれています。

“街”の繋がりを生むオーガナイザー、ビーコーズ。

「街」のテーマでは、十和田市の中心街に拠点を構えるWeb制作会社「ビーコーズ」のメンバーにお話を伺うことに。

ビーコーズ代表の村岡将利(ムラオカショウリ)さんは東京でプログラミングの経験を積みその後十和田にUターン。地元で起業後に地域の人々を巻き込み街中で新たなコミュニティ作りに取り組んでいる方。

街の中心部に「second.(セカンド)」という共用スペースを設け、スキルの共有や交流を促進する活動を日々行っています。現在は更にもう一軒空き家を借り、さらにその幅を広げようとしている最中。

今回はそんな村岡さんに対談形式で、コミュニティについての想いや今後の展望についてお話を伺ってみました。

始まりは小さな「塾」から。

堀口:村岡さんがこちら(十和田市)に戻ってこられたのは2016年からですよね?

村岡:そうですね。丸3年位ですね。

堀口:東京から戻られてからこの3年間で、どのような活動を続けてこられたのですか?

村岡:十和田に帰ってきてWEB制作を本業としてやっていたんですけど、それだけではいけないような気がして、一番最初に自発的に始めたのは「塾」ですね。僕がエンジニアだったので、こっちでは学べないようなことを十和田の人たちに教えてあげられたらいいなと思って。プログラミングもそうですし、これまでの経験談としてフリーランスになったり、起業したりとかの話を。

誰も見ていないかなと思って「村岡塾」っていう名前を付け発信してみました(笑)。そうしたら思いの外、僕の話を聴きたいっていう人が何人か出てきて。まずいちばん最初はそんな感じですね。

堀口:その活動は事業とは関連なく始められたのですか?

村岡:そうですね。ボランティアです。

堀口:なにか昔から、そういった活動をしたいという想いがあったのでしょうか?

村岡:東京に行ってから気がついたんですが、十和田市にITの会社、WEB制作の会社って見渡してもひとつもなくて。そういった業種の働き方を子どもたちは全く知らないので、せっかく帰ってきたんだから発信して、知ってもらえる機会をつくりたいなと思って。新しい職種として。

それを「塾」って名前をつけたらキャッチーと言うかフレンドリーかなと。形式は別に塾ではないんですけどね。
ウチのデザイナーの米田くんもその塾が興味あるっていうところから、話して、その年に一緒にやったほうが良んじゃない?ってなって、翌年に入社。だからその活動をしていなければ、米田くんとの出会いはなかったですね。

堀口:塾が全ての始まりなんですね。

村岡:その次は…従業員を抱える感じになってやばいなというか、怖いなと。とりあえず仕事取らなきゃって。危機感が急にやってきました。デザインの仕事はそれまで全く請け負っていなかったんですが、新しい収入源として取りに行こうと決めて、がむしゃらに安い仕事でもやっていましたね。

堀口:東京の既存の案件も受けつつ十和田のお仕事も新たに、という形かと思うのですが、どのように新しい仕事を開拓されたのですか?

村岡:当時も今も会社の9割は東京の仕事で、エンジニアの仕事を受けているんですが主にシステム開発のような見えない裏方の仕事でした。その中で目に触れるフロント側のデザインもお願いしたいという案件がいくつかあったので、まずはそれをデザイナーの米田くんに頼むようになって、という感じですね。地元の案件は、そこで初めて1件とれて。

堀口:ちなみに地元の最初の案件はどんなものでしたか?

村岡:最初は友人の会社のホームページ制作でしたね。資源回収会社の。そこから徐々に事業の幅が広がって、また人が足りなくなって。もう一人エンジニアさんが欲しいなと考えていた時にたまたま、東京で知り合った人の会社の子会社が青森県三戸町にあって、そこが潰れるって相談を受けて、その中のひとりに高橋がいて。意気投合して一緒にやろうかとなりました。三人になったのが2017年の10月くらいですね。

「場所」を作ったら、集まる「目的」が生まれた。

堀口:「second.」を作ったのはメンバーが3人になられてからですか?

村岡:はい、その直後ですね。11月に契約したので。改装したいと市の創業支援窓口に相談したら空き店舗を改修して事業を始める人への補助金を使えるという話になり、活用して改装をしました。

堀口:「second.」は最初は目的を決めずに作り、取り敢えず街のみんなが気軽に集まれる場所にしたかったと伺っているんですが、今はそこから変化がありましたか?

村岡:初めは確かにそうだったのですが、人が集まるとその目的も生まれるもので。今は定期的なイベントを開催する為の場所になってきています。地域と僕たちの接点になるような場所って感じですかね。月1で集まって好きなこと喋って、っていうのを必ず毎月やっているので。逆にそういう会がないと人って集まりにくかったりするので。継続的に続けることを大切に、僕らが楽しいっていうのを前提に、地域の方と交流できる場所として。

最初の村岡塾も僕らがやっていることを外に発信していきたいと考えて生まれたものなので、その結果が今のイベントに繋がっているのかなと思います。地域の方も「これからこういうことをやろうと思っているのですが、どう思いますか?」と相談に来てくれたり。

定期的に短い時間でプレゼンをする「LT(ライトニングトーク)」というものを「second.」では行っているのですが、最近では話し手にファンが付いてきたりして、思っている以上に広がりを見せてくれています。

特にテーマは決めていないので、自分の好きなスポーツブランドの話や地域でのアート活動の話、イベントの話と皆さん思い思いの自由な話を発表してくれています。中には自分の半生を語るような人もいるんですが、それがまた面白くてついつい引き込まれちゃったり。

最初はただ集まる飲み会だけでもいいかなと思っていたんですが、それだとあまり僕らがやる必要ないなと。ダラダラ集まるだけでなく地域について考えたり、新しいことを生み出す場所にしたいと僕らは思っていて、それを発信していたんですが、徐々に僕も混ざりたいという人がでてきて、ぜひどうぞと。

堀口:場所も大切ですが、地域のことを考えるというテーマを決めて、毎月話すきっかけを継続するというのはすごく利にかなっているなと思います。でも人前で自分の考えを話すのは、慣れていない人には結構難しいですよね…。

村岡:はい、中々大変です…(笑)でも僕も毎月LTで話しているんですが、それがあることで日々の生活に「これは話のネタになる…」とか「なにかやってみよう」という気付きが生まれる気もしますね。

photo:via second.で行われたLT会の様子

堀口:確かにその気持ちを参加者全員が持っていると、随分と地域が変わってきますよね。

村岡:何回も参加してくれているリピーターも多いですしね。

堀口:東京でもそんなにありませんからね。人前に出て自分の思いを伝える場って。

村岡:それが欲しかったんですよね。地方は表で派手にやっている人に裏で陰口を言うことが多いイメージがあって。東京に比べるとイベントも少ないですし、何もしないと喋る機会すらないまま社会人になってしまう、みたいな。社会人になると人前で自分の考えを話す機会はより一層減りますし。喋りたかったら場所があるよ、あとはあなた次第ですよ。という選択ができる環境を作りたかったんです。

堀口:イベントでは一人どのくらい話すのですか?

村岡:一応一人15分ですね。超えても止めはしないですが。なんせ、僕がオーバーの常習犯なので(笑)。段々と人数が増えてきて、今は嬉しい悲鳴というか、毎回「second.」に入りきれないくらいほどの人が来てくれることもあります。人が来てくれているからこそ、考えられることも増えるんです。

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photo:via second.で行われたLT会の様子

次は街ぐるみの”フェス”を計画?

堀口:今は十和田市内の20〜30人という規模感だと思いますが、将来的にコミュニティがここまで広がったらいいなというお考えはありますか?

村岡:なんだろう…運動会とかまちぐるみでやってみたいですね(笑)。そうなると、色分けして、だいたい100人いたらできるんですかね?あとはやってみたいことでいうと、今は全部イベントを「second.」でやっているんですが、十和田市内には他にも個々でイベントをやっている人達がいるので、その人達と連携して日付とか時間をあわせてゲリラ的に”フェス”っぽい感じで何かできたら面白いなと思います。段々とそういった知り合いも増えてきていますし。

堀口:3年続けてこられていろいろ得たもの、感じたことがあるかと思うんですが、これから地方で新しいことを始めようとする方にアドバイスをいただけませんか?

村岡:僕の場合は知り合いでこれまでに移住して起業した人の前例がなくて、その原因はやっぱり始めたてに仕事が立ち行かなくなってしまうことが多いんだろうなっていうのがあると思っていて。せっかくやりたいことがあっても、お金が問題でできないのは嫌だなと思っていたんですね。だから東京の制作会社を辞めて独立したときも、まずは一人で生活できる分をきちんと稼げるのか2年間試して、それから「これならいけるぞ!」という実感を持ってからやっと青森県に帰ってきました。夢だけ、希望だけで動かないように僕はしていました。あとはただのWEB制作会社だけだと面白くないので、そこで地域・地元をテーマに面白いことをしているというプラスアルファな付加価値としてつけられるかな、とちょっと戦略的にはやっていましたね。

堀口:想いとか夢が先走ってしまうことはままあることですよね、まずは安定した基盤がないと。東京のお仕事を持って帰ってきて地元で起業をなさっているのは理想的なUターンの形ですね。

村岡:その点はITで良かったと思いますね。WEB制作は嫌いではないので続けていきつつ…キャンプできる場所であったり、僕たち自身が楽しめるような場所をこれからも沢山作っていきたいとは思っています。あとはそれと紐づけて僕らの次の世代に向けて、体験を増やせる場所を作っていきたいですし、彼らが活躍できる環境づくりをしていきたいと思っています。

今はWEB制作とかシステム開発をする会社が県内にないので、それが当たり前になるようなインフラづくりにも取り組んでいきたいです。今はWEB制作をやりたいってなったら東京に出たほうが早いってなってしまう。それがここでも叶えられるように。様々な職種を作って街の人の選択肢を増やしたいっていうのが一番大きいかもしれません。

村づくりの最終地点は「帰りたくなる」場所。

堀口:別の記事で、今後はコミュニティから派生をさせて「村づくりをしたい」と読んだのですが。

村岡:それはちょっとオーバーですけどね(笑)。でも近いことを考えています。小さい街だからって、東京のように飲食店やゲームができるところがあってもいいですし、ゲストハウスみたいな宿泊施設があってもいい。多角的に何でもやる、作るという意味で、イメージは村づくりって感じかなぁと。比喩ですね。村なので、簡単なルールは自分たちで作って、楽しむ。

あと自分たちの「村」があるって格好良くないですか(笑)?「second.」も自分たちの遊べる空間がほしいよねと、楽しむために作ったら、街の人から「ここ使えない?」というオファーが来たりして。「なら、みんなで遊べばいいんじゃない」と。

堀口:じゃあ基本は「楽しめる場所」がベースとして存在して、それが将来的にコミュニティや「村」になっていくかもしれない、という形なんですね。

村岡:そうです。それを続けていったら、十和田を離れたくなくなるかなと。僕と同じく東京へ出ていった他の人に聞くと「やっぱり帰って来たい」と言う人もいれば「帰ってきてもつまんないでしょ」って言う人もいて。じゃあ僕らが会社として、なにか動けることはないかなぁと。WEB制作という仕事を十和田に持ち込むこともそうですが、それ以外だとやっぱり僕らが一番楽しいという状態をつくることが全てかなと。それが広がって繋がっていった先が「村づくり」。そこで人が集まれば、新たに雇用を生み出せないかなと思っています。

ここに全部を揃えて「あとはもう住むだけだよ?」という環境を作りたいんです。仕事もあるし、娯楽もあるし、場所もある。じゃあ戻ってくればいいじゃんと。東京に出た人が十和田へ帰ってこない言い訳をなくしたいんです。

堀口:自分たちがお手本となって楽しい姿をみせるのは良いですね…。

村岡:やっぱり人が楽しそうにしているところって気になりますからね。つらい部分はあまりみせないようにして(笑)。「帰ってきなよ」っていうよりも「帰りたいな」と思える場所を作ることが、一番の近道だと思っています。

“街”の繋がりを生むオーガナイザー「ビーコーズ」

今回は青森県十和田市の中心地でコミュニティを運営する「ビーコーズ」代表、村岡さんにお話をお伺いしてきました。

彼らの開催するLTにも実際に参加させていただいたのですが、個性豊かに熱量高く自分の活動を語る参加者の方々の姿を見て十和田という街はこれから更に大きな発展を遂げていくのだろうと、自分も街の住人の一員になったかのように気持ちが鼓舞されました。

様々なプロジェクトが、住人たちの手によって生まれ、その取組が始まっていたので数年後に街がどんな変化を遂げているかがまた楽しみですね。

次は「自然」の中のコミュニティ

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今回は青森県十和田市の市街地に根付くコミュニティについて取材をさせていただきましたが、次回は十和田湖周辺で自然に囲まれた新たなコミュニティスペースづくりに挑戦をする「yamaju」のお二人にお話をお伺いしたいと思いますので、お楽しみに。

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