一級品の雑談と伏線。君はマンガ「セトウツミ」を読んだことがあるか。
2018/08/19
高校生独特の”ノリ”ってあるじゃないですか。
僕は男子校に通っていたので、気にする女子の目は妙齢の保健室の先生くらいのもの。男同士楽しく気ままに毎日を過ごしていました。
いつもの面子で長いこと一緒にいると、誰が考えたかもわからないような独自の言葉遣いが生まれてくるんですよね。それが日が経つごとに濃度高くなり進化して、他のコミュニティの人にはわからないオリジナルの言語が出来上がります。
「今日(帰り)どうする?」
「クレバ。(”クレアモール”という埼玉県川越市にある商店街の中にあるスタバに寄る、の意)」
「おれ『ヤンマガ(コンビニでペヤングを買ってマンガを立ち読みすること)』してから行くわ。」
僕の高校時代の会話を思い返してみるとこんな感じ。話していた当人からしても何だこの会話って思いますねこれ。
このように仲が良い友だちの間だけで、どうでも良い会話の中に特殊な空気やルール、読み合いみたいなものが発生する経験、皆さんにもなかったでしょうか。
一級品の雑談が読めるマンガ「セトウツミ」
そんな、どうでもよい「雑談」の中にこそ友だちとの関係性が現れるのだろうなと、最近「セトウツミ」というマンガを読み返して思いました。
先に行っておきますが、これ本当に面白いマンガなのでまだ読んだことがない人は今すぐKindleで購入することをオススメします。8巻完結で心理的ハードルも低いと思いますので是非。おそらく1巻読み終わったらあっという間に最後まで行っていると思います。
瀬戸と内海の雑談がひたすら続く作品
このマンガは二人の男子高校生「瀬戸」と「内海」が繰り広げる放課後の雑談だけを淡々と綴った作品です。
シーンは変わらず、ずっと同じ河原の同じ階段。
大きなアクションも事件も何もない、それでもとにかく面白い。
その理由は彼らが交わす「雑談」のテンポの良さとツッコミの上手さ。
そしてその何でも無い雑談が実は一つのストーリーとして繋がっていて、一話完結の中できちんとオチを付けていく。
このまま、まるっと漫才にしてM-1に出たら優勝できるんじゃないかと思えるくらいの完成度の高さの「雑談」が毎話続いていきます。
会話の中でいつの間にかルールが生まれて、それが発展していってどちらがより上手い返しができるかのキャッチボールを繰り返していく。
高校生のあの頃に戻ったような、むず痒く懐かしい気持ちになりますね。
話の構成が上手すぎる。
読んでいて圧倒されるのは二人の会話の構成の上手さと、返しのセリフの切れ味。これを描いている作者の人の頭の良さが伺い知れますね。
途中に挟まれる「先にツッコミの答え言ってから会話始めて、繋げていく」という大喜利的な回にはもう脱帽しました。
答えを知っていても笑ってしまう。
先程会話のキャッチボールという表現をしましたが、一球一球がプロ野球選手並に剛速球。
張り巡らされた伏線
基本的にはこの作品、8巻すべてが一話完結の「雑談」で構成されているのですが、読んでいるとたまに「あれ」と違和感を感じる部分が少しずつ出てくると思います。
僕は読みながら「ちょっとこの返しは滑ってるな」くらいにしか思っていなかったのですが、それがなんと最後の8巻にすべて繋がってくるという、とんでもない構成になっています。
一話完結のはずだったのに、実はそれがすべて繋がっていて大きなストーリーも描いていた。
一つひとつの話のクオリティも担保しながらこんな芸当やってのけられるとは、これが天才ですか。こんな作品他にない。
暖かくなる”相棒”の存在
作品全体を俯瞰したメタ的な紹介をしてしまいましたが、作品の中で描かれる「瀬戸」と「内海」のお互いを信頼した関係性には素直に憧れるものがあります。
お互いのことを理解して信じているから、これだけ的確で淀みのない受け答えができる。「1を聞いて10を知る」を繰り返しているので最終的に1が100にも1000にもなってどんどん話が飛躍していく感覚。
これだけ波長の合う理解者が見つけられたらきっと幸せなことなんだと思います。
笑いあり、ちょっとした感動もありで、8巻完結ですぐ読めるマンガ「セトウツミ」。読んだらあなたもきっと近くの誰かと”雑談”したくなること間違いなしですよ。
関連:複業ブロガーにこそ読んでほしいマンガ「さぼリーマン 飴谷甘太郎」
僕は毎日1冊マンガを読むようにしているのですが、マンガから学びを得られることが非常に多いです。
最近「複業」という言葉が流行ってきていますが「複業」に興味がある人にぜひ読んでほしいのが「さぼリーマン 飴谷甘太郎」というマンガ。
本業も、自分のやりたいことも、どちらも本気できっちりやるのが理想の「複業」のカタチだと僕は思います。
複業ブロガーにこそ読んでほしいマンガ「さぼリーマン 飴谷甘太郎」