レンズを通して世界が広がる。α7 Rⅱ用に超広角レンズ「フォクトレンダー ULTRA WIDE HELIAR 12mm」を購入。
2018/10/09
僕のカメラはSONYの『α7R Ⅱ』。コンパクトなボディにも関わらず35mmのフルサイズのセンサーを持ち、4240万画素の高解像度を実現するモンスターマシン。小さなボディに男の夢をギュッと詰め込んで圧縮した結晶のような一台です。
SONYの『α7』シリーズはそのボディの小ささに不釣り合いなほどの高スペックがフューチャーされがちですが、もう一つの顔として「レンズで遊べるカメラ」という一面も持っています。実際以前僕もα7のユーザーミーティングに行ったことがあるのですが、参加者のほとんどがSONY純製のEマウントレンズの他に別のメーカーのレンズを組み合わせて使っているとのことでした。
なぜα7は他社のレンズとの相性が良いのかという理由は、対応のマウントアダプターが多い、フルサイズのレンズが使えるから、EVF(電子ビューファインダー)のピーキング機能が便利、等たくさんあるので今回は深く語りませんが、とにかく他社の色んなレンズに自由度高く選択肢を広げられるというのはα7の間違いなく良いところ。
そして最近になってようやく僕もSONY純製以外のレンズをα7で使い始めているので、monographでもちょくちょくと紹介していきたいと思います。
フォクトレンダー ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II
今回新しく僕のα7R Ⅱの相棒として加わったのは「Voigtländer(フォクトレンダー) ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II」というレンズ。オーストリアとドイツに起源を持ち、200年以上前から存在する老舗中の老舗レンズブランド「Voigtländer(フォクトレンダー)」から発売されている一本です。
少しせり出した半球状のレンズからも想像がつくと思いますが、このレンズはいわゆる「超広角」と言われる類のレンズ。12mmという短い焦点距離で撮れる視野角はなんと121度。見るもの全てを写し切る広大な画角をカメラに授けてくれます。
フォクトレンダー社の広角レンズ「ULTRA WIDE-HELIAR」には10mm/12mm/15mmの3つの焦点距離があり、僕は今回12mmのレンズを選択。広角端27mmのズームレンズを持っているのですが、それでも狭い室内などでもう少し広く撮りたい場面があり「超広角レンズ」というジャンルのレンズに手を出すことになりました。
広角レンズなのにコンパクト
数ある広角レンズの中で「Voigtländer(フォクトレンダー) ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II」を選んだ一番の理由はα7に着けたときのフィット感。大振りになりがちの超広角レンズですが、この「ULTRA WIDE-HELIAR」はご覧の通り非常にコンパクト。コンデジくらいの感覚でヒョイッと持っていけるのが嬉しいですね。
Leica MマウントとEマウントをアダプターで接続
「Voigtländer(フォクトレンダー) ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II」はライカのMマウントにて対応しているレンズなので、α7に接続するためには間を繋ぐマウントアダプターを咬ませる必要があります。僕はAmazonで2500円で買える「K&F Concept®のマウントアダプター Leica Mレンズ用」を購入。少し厚みは出ますがスムーズに接続ができブレも全く無いのでこれで十分だと思います。色も本体とレンズのブラックとよく合ってますし。
F値は5.6から22までの間で調節が可能。オートフォーカスが使えないレンズなのでレンズ自体のツマミをカリカリカリと動かして調節します。超広角で写したいシーンはボケよりも隅々までピントを合わせたい場合が多いのでF値はいつもちょっと絞って撮影していますね。
ピントもリングを回してマニュアルフォーカスで合わせるのですが、α7の場合ピントが合っている場所を点で教えてくれる「ピーキング機能」とピント面を拡大できる機能があるので細部までピントを追い込むことができます。
いざ超広角の世界へ
それでは早速α7に「Voigtländer(フォクトレンダー) ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II」を装着して街に出かけてみましょう。まずは試し撮りで一枚。
自分の腰辺りから足元を見下ろして撮った写真なのですが、これだけでこのレンズの面白さが伝わると思います。視野角が極端に広く、中心に置いた被写体がかなり遠くにあるように感じますね。
そして周辺部はグラデーションに露光が落ちていきビネットがかった独特の世界観を演出できます。中心部は歪みなく、かつ鮮明に被写体を捉えることができますが周辺部は端へ行くほど流れてしまうのでその特性を考慮しながら撮影をする必要があります。僕も初めこのレンズを着けてファインダーを覗いた時に視野の広さに思わず声を上げて驚いてしまいました。
「ULTRA WIDE-HELIAR 12mm 」作例:街の風景
レンズに付いて語るのであれば作例を見せるのが一番早いということでここからは最近撮影した写真をいくつかご紹介。
ほぼ毎日くらいのペースで訪れている渋谷ハチ公前広場で一枚。広い空、立ち並ぶビル、沢山の人。いつも見ている風景ですが超広角のレンズを通すと普段以上にドラマチックで特別な場所に見えてきます。
こちらは紀尾井町のオフィスビルを下から見上げた一枚。かなりビルの根本に立って撮影したのですがそれでもかなり遠くにあるかのように写りますね。ビル群や竹林など上に高く伸びる被写体を下から超広角で撮影すると中心に先端が集まり面白い画が撮れます。
恵比寿駅からガーデンプレイスへ向かう途中の歩く歩道から一枚。消失点を意識してパースを調節し放射線状に線が伸びるように撮影してみました。あと、このレンズの特徴として光芒が非常にくっきりと映りますね。写真左上のように少しの明かりでもバキッと光の線が浮かび上がってきます。
ちょっとアンダー目に立体駐車場の風景を一枚。柱や電灯など同じものが等間隔に並んでいる場所だと連続性が出て神秘的な写真に仕上がりやすいと思います。
中目黒駅のホームから一枚。中心点と周辺の露光の差がかなり激しいので撮影時には白飛び・黒つぶれをしないように配慮して撮影する必要があります。暗い部分は後からでも補正が効きやすいので僕は中心に露光を合わせてLightroomで現像する際に周辺の暗い部分を明るくしています。
中目黒駅の高架下。このレンズを使っていて思ったのは「広角」というのは横に広い「ワイド」という意味ではなくて上下左右に全方位的に被写体を捉えられるんだなということ。撮影をしていて横の広さよりも縦の広さを感じることが多いです。普段あまり上下に目線を振ることは少ないので日常の中で新しい気づきを与えてくれるレンズ。
駅の周辺をなんとなく散策。
普段の景色がこのレンズを通すと全く違う世界に。
画の中に線が多いとパースが強調されて面白い写真になりやすい気がします。
駅前のロータリー。
中目黒銀座商店街。周りが何かに囲まれている方が空間のバランスが取りやすいですね。
中目黒GT広場。
代官山方面への一本道。基本は開放で撮っていますがキリッと描写してくれます。
祐天寺の公園。
今自分が見ているものを切り取るというよりは、レンズを通して自分の見えない世界を写し出すレンズと言った方が合っていますね。レンズを覗いたときに毎度驚かされます。
風景に関しては建物が多い街や木々に囲まれた森などに関してはある程度撮り方がわかってきたのですが、何も線がないような平地の撮影はまだ慣れていません。青空を超広角で見た目以上に広く写し取れたらと思っているのですがまだ上手く撮れていないので引き続き練習を重ねたいと思います。
広角は狭いところでこそ活躍する
「広角レンズ」というとその語感から広い景色を撮るためのレンズなんじゃないかと勝手に思い込んでいましたが、実際に使ってみると思いの外便利なのが室内での撮影。広い画角でその「空間」をまるごと写し取れるので、狭ければ狭いほど広角レンズが重宝することがわかりました。
試しに一つ比較例を出してみると、こちらの上の写真が24mmでの撮影。十分広くは撮れていますがあくまで壁の一面といった印象で、部屋そのものの空間を表現するにはもう少し視野角を広げたいところ。
上記の写真と同じ位置で「ULTRA WIDE-HELIAR 12mm」に付け替えて撮影した写真がこちら。左右の壁もそうですが真上の天井まで写し切るこの広さ。場の臨場感と迫力を写し取れるのが広角レンズの良いところですね。
この日は友人のウエディングフォトを撮りに台風の中ディズニーシーまで足を運んできました。
面白い被写体がそこかしこに転がっているのでどこにレンズを向けても楽しくて仕方がない。周りでディズニーにハマる人を何人か見ていて今までその理由が全くわからなかったのですが、今回カメラを持ってインパークしてみて、あの世界観に魅せられてしまう人の気持が少し分かったような気がします。
あと重宝しているのはカフェの店内撮影。日常的にカフェの記事を書いている僕としては小さな店内でも広く写せるこのレンズには非常に可能性を感じています。どちらかというといつもは望遠よりのレンズを着けていることが多いので、ふらっと良いカフェを見つけた時に全景が撮れず苦労をしていました。でもこいつさえ一本鞄に忍ばせておけば狭いカフェでも隅から隅まで詳細に雰囲気を伝えることができます。
こちらは先日行った横浜の美術展。アートは空間全体からデザインをされていることが多いので、それを余すことなく写しきれるのはやはり魅力です。今までスマホやカメラを遠くから様々なアングルに傾け四苦八苦していたので、近くで一枚パシャリと収められてしまうのは気持ちがいいですね。
一期一会の「空間」のために
「Voigtländer(フォクトレンダー) ULTRA WIDE-HELIAR 12mm F5.6 Aspherical II」には既に次の第三世代のレンズが出ているのですが、僕が購入したのは「Ⅱ」という名前の通り二代目のレンズです。
こちらを選んだのはその薄さゆえ。第三世代は二代目よりもレンズの全長が長く、マウントアダプターと合わせるとかなりボリューム感が出てしまいます。二代目はご覧の通り薄く小ぶりなデザインなのでつけっぱなしにしていてもカメラがかさばらず、取り回しがしやすい。最近ではレンズキャップの代わりとしてこのレンズをつけっぱなしにして、もう一本別のレンズを鞄に入れて持ち運ぶようにしています。
あとは単純に見た目が格好いいんですよね。ツメがせり出たレンズフード、赤黒く鈍く光る半球状のレンズ、カリカリと手で回すピントリング。機能もそうですが、モノとして持ち歩きたい魅力のあるレンズです。
鞄に一本入れておいて、普通のレンズでは対処できない貴重な「空間」に出会った時に取り出すレンズ。お守り代わりにいつも持ち歩いています。
関連:monogramのカメラ用スリムストラップ。
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リンク:掛けて、巻いて。monogramのカメラ用スリムストラップ。