【ネタバレあり】映画「ゼロ・グラビティ」のあらすじ・感想。寄る辺の無い恐怖に震える。是非映画館で観てほしい作品です。|考察評価レビュー
2014/11/16
今日もNUMBER333をお読み頂きありがとうございます。
PITE.(@infoNumber333)です。
今日から公開の作品「ゼロ・グラビティ」を早速ピカデリーで観てきました。
予告編を見た時から気になっていた作品だったので楽しみにしていたのですが、その期待に見合う良い作品でした。これは是非劇場で観て世界に入り込んでほしい。
酸素も、音も、重力も無い世界に突然放り出されたらあなたはどうしますか?
ゼロ・グラビティあらすじ(ネタバレ無し)
地表から600キロメートルの上空。ストーン博士はコマンダーのコワルスキーと共に衛星上で、通信機器の修理をしていた。
そこにヒューストンから突如一本の連絡が入る。
「ロシアが自国の人工衛星を爆破した。」
その爆発の影響で衛星の破片(デブリ)が飛び散り、連鎖反応を起こし拡大しながらこちらに向かっているらしい。
すぐに作業を中止し、衛星に戻ろうとするも、体を固定しているベルトが外れず焦る博士。
無慈悲にもデブリ群は博士達の乗る衛星を直撃し、博士はアームごと宇宙空間へ飛ばされてしまった。
光も、音も、重力もない世界に彼女は取り残された。
ゼロ・グラビティ感想
話としては、主人公が遭難し無事に帰還するというストレートな話ですが、舞台が「宇宙」というだけでその深刻さが大きく変わってきます。
酸素もない、重力もない、自分の意思で動くことすらできない。
地球という足場が無ければ人間という生き物が如何に弱い存在なのかを思い知らされます。
特に上手いなぁと思ったのが、地球に着いた後も海中に落ちて溺れそうになるシーン。ほっとしたのも束の間、地球降りたからと言って安全とは限らないわけです。
衛星軌道上を高速で移動する「デブリ(破片)」
今回の作品は宇宙のゴミ「デブリ」によって起こる災害を描いた映画です。「デブリ」というと真っ先に思い出すのは漫画「プラネテス」ですね。
「プラネテス」ではこのデブリを除去する「宇宙の掃除屋」が主人公でした。デブリは次から次へと拡散し消えること無く飛び回ります。将来もし人間が宇宙に生活圏を伸ばすとしたらこのデブリによる事故、問題は必ず出てくるはず。人間の出した「ゴミ」が人間の将来を脅かす、という皮肉な話ですね。
寄る辺のない恐ろしさ
この作品を見て人間は「地球」という足場にしがみついて生きているんだなぁということ強く実感しました。宇宙空間では身動きが取れないので何かに捕まる、頼るしか生きていく術がありません。これがなんと不安定で恐ろしいことか。
最近見たアニメ映画、サカサマのパテマも同じように重力、大地について考えさせられる作品でした。ゼロ・グラビティはタイトル通り「無重力」ですがパテマは「逆重力」を描いた物語。こちらも面白いので是非観てみて下さい。
胎児の成長を描く
限界状態の主人公が死に物狂いでISSのハッチを開けて酸素を吸うシーン。
ここがとても「美しい」。
光の使い方や女性特有のボディラインが強調された映像などの描写を見ても監督が大事にしているシーンだろうということが伝わってきます。思わず見入ってしまいました。今作で一番好きなシーンです。
ここでは体を大きく反り、息を吸った後博士は体を丸く抱え込みます。
その姿はまるで「胎児」のよう。
この時はなぜこのような描写をするのか不思議でしたがその答えは物語の終盤にありました。
そう。地球に帰還し、危なげな足取りで博士が大地を踏みながら歩き始めたシーンです。
「胎児」だった博士が自分の脚で歩き始めたということが人間としての「成長」を表しているのではないでしょうか。
ゼロ・グラビティという邦題
「ゼロ・グラビティ」は日本でのタイトルで実はこの作品の原題は「Gravity」。
直訳すると「無重力」と「重力」なので大きく意味が変わってきます。
きっと邦題を付ける際にライターが「Gravity」だと味気ないので「ゼロ・グラビティ」にしたのだと思いますが、最後までこの作品を見ると僕は「Gravity」の方が合っているんじゃないかなと思いました。
「無重力」か「重力」か。みなさんも是非考えてみてください。