勉強を始める前に「勉強の仕方」を学ぼう。現役”家庭教師の営業”が語る効率的な学習方法。
2017/07/12
英語の勉強法
理科・社会の次に伸びやすいのは英語と数学です。
この2教科も基本的には暗記が半分を占めます。英語はわかりやすいと思いますが、日本では単語・文法・長文の3つがメインです。単語と文法は暗記作業になるので理科・社会と同じ方法で勉強すれば問題はありません。それに対して長文は単なる暗記では難しく、文章を読むスピードや読解力などの力をつける必要があります。長文の読み方に関しては様々なテクニックが紹介されていますが、あれはあくまでも「テクニック」です。それを使う以前に自身の英語力が無ければそのテクニックも無駄になります。ましてや英語が母国語の人たちは毎回テクニックを使って英文を読んでいるわけではありません。
テクニックではなく根本的な「英語力」を付けるために、僕は毎回生徒に「音読」を勧めています。
「音読」なんて迷信でしょ?という方、本当に音読したことありますか?
騙されたと思って1ヶ月だけこれから紹介する方法を続けてみて下さい。きっとあなたの認識は大幅に違ったものになっているはずです。
まず、音読に使う文章を用意するのですが、文章は一度授業でやったか、自分で完全に内容を把握したものを使うのがコツです。最初はそれほど長くなく、1ページの半分程度の文章で結構です。これを1日3回声に出して読みます。そしてそれを1週間毎日続けて下さい。同じ文章を3回✕7日で21回読むことになります。きっと半分くらい終わった所で、その文章ならスラスラと読めるようになってきます。ここで飽きてしまって次の文章に言ってしまう子が多いのですが、耐えて7日が立つまでは同じ文章を読み続けましょう。音読の方法はこれだけです。1日5分あれば十分。
この「音読」で身につけて欲しいのは英語の「リズム」です。日本語の文章と同じで英語にも英語のリズムがあります。これは知識ではなく「感覚」です。もっとわかり易い言葉で言うと「慣れ」です。なので同じ文章を毎日読んで欲しいのです。音読をしっかりと続ければ「感覚」や「慣れ」が自然と身に付いて行くのがわかります。「そんなの無理だ」と思うかもしれませんが、やってみると意外と簡単です。言葉で説明するのは難しいですが、音読を続けていればいずれ分かるようになります。まずは文句を言わずやってみて下さい。きっとあなたにも「感覚」が付きます。だって1ヶ月で90本以上、半年で540本以上の英文をあなたは読むことになるのですから。
リズムが取れるようなると長文のスピードが劇的に向上します。理解力も高まり英語を日本語に直して理解するのではなく英語を英語のまま理解することができるようになります。
このように英語は単語・文法を暗記して長文の音読をすれば間違い無く成績が上がります。
数学の勉強法
数学もこれまでの教科と同じく暗記が重要です。暗記、というか反復ですね。
理科の物理分野など計算式が必要になってくる部分も同じです。
数学では問題の解き方を覚えましょう。数学の問題には全てパターンがあります。そのパターンを全て覚えるのです。定期テストなどは授業でやった一連の流れをもう一度再現するだけで満点が取れます。受験でも一部のトップ校を除けばテストの問題はどこかの問題集で一度解いたことのある問題だと思います。その場ではわからなくても後日解説を読めば理解できるはず。ということは、一度解いた問題を忘れているというのが数学ができない原因です。一度解いた問題は二度と忘れないぐらいの気持ちで暗記しましょう。暗記の方法は次の章で解説します(何度も引っ張ってごめんなさい(m´・ω・`)m
国語の勉強方法
5教科の中で一番伸びにくい、だけど一番重要なのが国語です。
そして国語の中でも特に大切なのが現代文。
この現代文を伸ばすかどうかで勉強が上手くいくかどうかが決まります。逆に漢字やことわざ、古文漢文などはほぼ暗記なので、それほど心配しなくても大丈夫。現代文は今すぐに始めましょう。
現代文だけは他の勉強とは性質が違います。他の4教科は「これを覚えたら得点が取れる」とか「これが解けるようになれば正解」といった感じですが、現代文はそうじゃありませんよね。自分で考えて自分で答えを出さなければいけないのである程度のテクニックは存在するにしても、本人の読解力、国語力が得点に直結する教科なのです。この国語力・論理的な思考力を身につけるためには訓練が必要です。一朝一夕では身につきません。そのため他の教科に比べて時間がかかるので早めに始めて欲しいんですね。
では、「国語力・論理的な思考」という抽象的なものを身につけるためにはどうすればいいのか。その具体的な方法が先ほど紹介した「思考の整理学」の中に書いてありました。どのようなものか簡単に説明すると「読んだ本のあらすじを要約してノートに書き記す」というものです。これはちゃんとやれば非常に効果的ですが、時間がかかるので中々実行しにくいです。なので僕はいつも生徒に、「マンガ・ドラマ・アニメ・映画・小説、何でもいいから好きなものを観たり読んだら、それがどうゆうお話だったかをお母さんかお父さん、先生、誰でもいいので人に説明してみて下さい。」と言うようにしています。これなら時間も手間もかかりません。好きなものであれば喜んで話してくれるはずです。
一度試して欲しいのですが、人に物事を説明するというのは意外と難しいものです。大人の方でも、「最近観た映画のあらすじをわかりやすく説明して下さい」と言われてキチンと短時間でわかりやすく内容を伝えられる人は少ないです。このような「要約力」「説明力」「人に物事を伝える力」というのは訓練で鍛えられます。
そのために必要なのがアウトプットの作業。「勉強はしているのに成績が全然伸びない」と悩んでいる方のお話を聞くと殆どの方がインプット作業ばかりをこなしていてアウトプットの練習をしていません。勉強はインプットとアウトプットのバランスが非常に重要なのですが、今の日本の教育業界ではインプットの勉強がメインです。圧倒的にアウトプットの量が足りていないのです。
なのでこれからは、自分の好きなもの何でもいいのでその話を要約して人に話すか、文章に起こしてアウトプットするように心がけて下さい。これを続けてくれれば劇的に国語力が伸び、現代文の成績が上がります。なぜなら現代文は「文章を読み取って(インプット)頭のなかでそれを整理し(要約)答えを表現する(アウトプット)」という教科だからです。この「思考の回路」の構築と並行して練習問題などを解いていきましょう。早ければ1〜2ヶ月で文章の読みやすさや話し方が変わってきたことを実感できるはずです。
そして、この話は現代文だけに限ったことではなく、他の教科の勉強についても効果があります。インプットとアウトプットの回路が頭のなかに定着すると思考のスピードが格段に速くなり、理解力や思考力までも高まります。先生が話していることや教科書に書いてあることがより深く理解できるようになります。そして、国語以外の教科の成績も上がります。具体的に言うと数学の文章問題や英語の長文・和訳、理科社会の記述問題などの思考力を問われる問題です。なのでまずは国語力をつけて脳のポテンシャルをアップさせると勉強の効率が高まります。
さらに言うと、国語力というものは受験が終わり、大学に入ってから、社会に出てからも必要になる力です。特に文章を作成する時や人と話をする時、聴衆の前でプレゼンをする時に活きてきます。僕自身、就職活動の面接時やビジコンの発表時に大きく役に立ってくれたように思います。国語力は獲得するまでに時間がかかりやすいので、出来れば今日から説明の訓練を始めて下さい。この「思考の回路」をしっかり構築できるかどうかで人生すらも変わってきます。
教科ごとの勉強方法まとめ
長くなってしまったので一応ここで教科ごとの勉強方法をまとめておきます。
理科・社会:暗記科目。次章の暗記法を活用する。
英語:暗記と長文の音読
数学:問題の「パターン」を暗記
国語:説明・要約の訓練
これを基本としながら勉強を進めていって下さい。
暗記は時間ではなく「回数」と「頻度」
続いてこの章では効率の良い暗記方法について解説して行きます。
現代文や小論文、英作文やスピーキングなどを除けば、日本で教えられている学問の殆どは「暗記科目」です。社会などはわかりやすいと思いますが、同様に数学や理科も「解き方」を暗記する科目です。つまり最初に、効率の良い暗記の方法さえ体得してしまえば成績はメキメキと上がっていきます。
「暗記」という作業には実は2つの段階があります。一つは単純に「覚える」という段階。英単語だったら意味を言えるようになる、世界史なら人名を答えられるようになる、数学なら問題を解けるようになる、といった新しい知識を入れるという作業です。これは誰でもできます。例えば「apple=りんご」という新しい知識を覚えたら誰でも10秒間くらいは覚えていられるはずです。
ここで、一つ認識の確認をしておきます。
皆さんはこの「覚える」という作業を暗記だと思っていませんか?
はっきりと言っておくと、これは暗記ではありません。ただ、理解しただけです。
理解した知識を脳に定着させ、いつでも引き出せるように訓練するという作業が暗記なのです。
そして、この訓練を言い換えた言葉が「復習」。
一度理解した内容を「いつ」「どのように」復習するかが分かれば最短時間で成績を上げることが可能になります。そのためには脳の”記憶”について理解を深めることが必要です。
*画像は記憶力をアップする方法、エビングハウスの忘却曲線 – next global jungleより参照
「忘却曲線」という言葉をご存知でしょうか。
脳は新しい記憶ほど忘れやすいという仕組みになっています。上の図を見て頂けると分かると思いますが、1日後には覚えた記憶の内の3分の1以下しか残っていません。これは非常にもったいない。この記憶の流出を食い止めてくれるのが「復習」です。復習をすればするほど記憶は強くなり、長い期間頭のなかに残るようになります。
復習はただ闇雲にやればいいというわけではありません。必ず押さえて欲しい「ポイント」があるので、メモのご準備を。
①:新しい知識を覚えてから「1時間後」
②:①から約半日後
③:②から1日後
④:③から2日後
⑤:④から4日後
⑥:⑤から1週間後
⑦:⑥から2週間後
⑧:⑦から1ヶ月後
この8つのポイントの復習を必ず行うようにして下さい。
復習は間隔を空けて行ったほうが効果は高くなります。ですが、いきなり長い期間を空けてしまうと忘れてしまうので、少しずつ少しずつ間隔を空けて強くしていかなければいけません。そしてそのギリギリの点が上の8つのポイントです。この8回の復習さえ行なってくれれば必ず記憶は定着します。もしこの8回の復習でもどうしても覚えられない箇所があれば、それはメモしておきましょう。あなたにとってこの上ない問題集になります。
「一つの単元に8回なんて復習している時間は無い!」と思われるかもしれませんが、安心して下さい。1回の復習には時間をかける必要はありません。まだ記憶に残っているうちに復習をするので、英単語だったら範囲をさらっと眺めて意味が分からない単語を1度チェックする程度、数学や理科ならどのように問題を解いたのか筋道を確認する程度で充分。なので1回の復習にかかる時間は5分ほどで済みます。
この5分が8回で合計40分です。一度忘れて覚え直すにはこの倍以上の時間がかかるでしょう。たったの40分で二度と忘れない記憶が作れるのなら安いものだと思いませんか?
わからないところがわからない
「あなたは何故勉強が苦手なのですか?」
勉強が苦手な人でこの質問に答えられる人はいないでしょう。この質問にはっきりと理由を述べて答えられるのであれば、その理由を解決すればいいだけです。
勉強に悩む人は「何がわからないのか、どこがわからないのか」がわかっていません。つまり「自分のわからないところがわからない」のです。
3年間で勉強すべき内容はどれだけあるのか、その中で自分は今どこまでを理解しているのか、一度勉強したが忘れてしまっている部分はないか。これらを理解することが効率的な勉強の第一歩です。ここをないがしろにすると結局覚えて忘れてを繰り返し、同じ所をぐるぐると回っているだけになってしまいます。
これを解決するために、僕は生徒に範囲の細分化をするように勧めています。
例えば世界史の参考書を1冊用意したとしたら、5ページぐらいの区切りがいいところに付箋を張り「世界史:ローマ史①」「世界史:ローマ史②」というように名前をつけます。そして細かく分けた範囲をノートの1ページにずらずらっと書き出しておきましょう。後は順番に勉強しながら、先程の暗記法を実践し、復習が終わるごとにチェックマークを付けていきます。
このように今までやってきた自分の勉強を「見える化」することによって今までやってきた範囲、まだ手が付いていない範囲、復習が終わった範囲、何回復習をしたかが一目で分かるようになるのです。そして勉強の進み具合を把握できるだけでなく、「チェックが付いている範囲ならばどこを聞かれても大丈夫」という自信にも繋がります。