【小説・感想】2013年本屋大賞ノミネート作品「世界から猫が消えたなら」。フーワフーワとした軽い空気がどこか暖かく、切ない。|書評・レビュー

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    2014/11/16

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文章から、こんなに軽い空気を味わったのは初めてです。

あらすじ

僕は生きるために、
消すことを決めた。

今日もし突然、
チョコレートが消えたなら
電話が消えたなら
映画が消えたなら
時計が消えたなら
猫が消えたら
そして
僕が消えたなら

世界はどう変化し、人は何を得て、何を失うのか
30歳郵便配達員。余命あとわずか。
陽気な悪魔が僕の周りにあるものと引き換えに1日の命を与える。
僕と猫と陽気な悪魔の摩訶不思議な7日間がはじまった―――

消してみることで、価値が生まれる。
失うことで、大切さが分かる。
感動的、人生哲学エンタテインメント。

感想

今年の本屋大賞ノミネート作品。本屋大賞は毎回楽しみなのでノミネート作品の中で一番面白そうな本を買ってみた。大正解。

「世界から猫が消えたなら」は余命を宣告された青年に、悪魔が「この世界のモノを”一つ”消す代わりに”一日”の命を与える」という契約を持ちかけるというお話。物語は一週間になぞらえて七章で結末を迎える。

月曜日 悪魔がやってきた
火曜日 世界から電話が消えたなら
水曜日 世界から映画が消えたなら
木曜日 世界から時計が消えたなら
金曜日 世界から猫が消えたなら
土曜日 世界から僕が消えたなら
日曜日 さようならこの世界

これがこの本の目次。目次を見ただけでも想像力が掻き立てられてしかたがない。
次の日の朝が早いのも忘れて一心不乱に読みふけってしまった。

”フーワフーワ”とした軽い文章、切ない思い出、青春。色々な感情や出来事が優しく心の中に流れ込んでくる。全221ページという短い物語だが、これ以上でも以下でもないといったボリュームでとても読みやすい。

コメントで秋元康が「川村元気の小説は、音楽だ。」と評しているが本当にその通りだった。文章が春の小川のようにさらさらと流れていく。「心が洗われるようだ」とはよく言ったものです。文章から著者の電話への、映画への、時計への、猫への、この世の全てのモノへの愛が心地よく伝わってくる。

略歴を調べてみれば、著者の川村元気さんは「電車男」「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」などの名だたる名画の映画プロデューサーとのこと。やはり根が分かっている人は表現の方法は違えど素晴らしいものを作れるということがわかりました。

彼の作品はどれも切なく、ほろ苦い。

本作が書籍としては初の著作と言うのは驚きの一言。小説の分野でも彼の次の作品に期待が高まります。

とてもオススメできる作品です。「世界から猫が消えたなら」。
本屋大賞に選ばれる前に読んでおいたほうが、いいですよ。

PITE.

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